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東京地方裁判所 昭和47年(人モ)1号 決定

債権者 甲野太郎

同 甲野月子

右両名代理人弁護士 西島勝彦

同 荒井新二

債務者 甲野花子

同 甲野梅子

主文

本件申立を却下する。

申立費用は申立人らの負担とする。

理由

一  申立の趣旨および理由は別紙記載のとおりである。

二  本件記録によれば、別紙申立の理由一項の各裁判がなされ、確定をみたことが認められる。

ところで、右の東京地方裁判所判決は、人身保護法一六条三項、人身保護規則二条、三七条にもとづき、被拘束者のために適当であると認める処分として、「被拘束者を……請求者ら(本件債権者ら)に引渡す。」こととしたものであることが明らかである。この場合、右判決の拘束者ら(本件債務者ら)が右判決で命じられた内容を実行しないときには、それは法二六条の定める「救済を妨げる」ことにあたり、二年以下の懲役または五万円以下の罰金に処せられるのであって、法はそれにより右裁判で命じられた内容の実現を期待したものであるということができ、したがって、民事訴訟法の規定する強制執行の方法によることは予定していない(人身保護規則四六条により民事訴訟法の強制執行に関する規定は適用を排除される)ものと解される。

三  してみると、民事訴訟法七三四条の間接強制を求める本件申立は、その余の点を判断するまでもなく不適法であるから却下することとし、申立費用は同法八九条を適用して主文のとおり決定する。

(裁判官 渋川満)

〈以下省略〉

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